コラム 三寒四温

弊社の週刊紙「速報・製パン情報」から、好評の三寒四温をご紹介。
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ロリポップ

広尾の有栖川公園前に、私の好きな麻布マーケットがあります。他のスーパーでは手に入りづらい、珍しい世界各国の料理や食材が数多く揃っているのが嬉しいですね。まず1階で買い物をする前に、キッチンやパーティー用それぞれの面白いグッズが並ぶ2階を先にグルッと見て回るのが楽しいんです。

今日は麻布台のTACでリハビリをしたのち少し遅いランチを、と思っていたのですが、マーケットの横にメキシカン料理のキッチンカーが停まっているのを発見。ポークトルティーヤのスモールをオーダーしてから買い物をしました。

「オー! 今日はフランス産のミモレットチーズが30%オフだ、ラッキー!」

米国産アンガスビーフは1パウンド程度の大きさのサーロインとリブアイを1枚ずつ、ロメインレタス、カリフラワー、パプリカ、アボカドなどを次々とカートに入れていきます。それと、ロリポップも忘れずに。プレーンのナチョとアボカドソースも外せませんね。ヒヨコマメの瓶詰めはワイルドライスを炊いて、細かくカットしたロメインレタスに混ぜてスプーンで食べるサラダにします。

今日もまとめ買いの甲斐あって、レジでは♪パッパラパッパパー~と楽しい音が鳴り響きました。これ、500円のサービス券が提供される合図なんですよ。

バレットで車が来る間に、キッチンカーにでき立て熱熱のトルティーヤを取りに寄って、さあ帰宅。各国の大使館が多数点在するこの界隈は警備の警官が辻ごとに立ち、車両や通行人をチェックしています。そんな風景を横目にトルティーヤをかじりながら六本木ヒルズ方面へ向かうのですが、そういえばトランプ米国大統領をもてなした安倍総理との会食の場となったレストランが入っているビルの前を通った時、「3日前はここいらは大変な警備だったんだろうな」とふと考えてしまいました。政治の世界は分かりませんが、大国の元首が来日しての事故・事件、なんてことになったら日本国の面子がつぶれるだけでは済みませんからね。

トランプ大統領来日で株価が活気づいて、バブル期以来の高値が連日続いていましたが、今日は久し振りに下げ止まりました。帰宅後に見たTVニュースでは大手銀行や大手商社の早期退職金に5,000万円が支払われるとの話題。世代間の分裂により価値観も異なり、しかも団塊世代、団塊ジュニア世代の狭間で役職に就けない不合理さゆえの苦肉の策か。日本の経済はこれからどのように歩んでゆくのでしょうか。

ロリポップのように丸く甘い世界はいつまでも続きません。なめきったら残るのは“棒1本”
……さて、何を意味するのでしょう?


大型台風が10月後半に日本列島を2週続けて横断、各地にて大きな災害をもたらしました。被害に遭われた皆様のご健康と、一日も早い復旧をお祈り申し上げます。

その後、ぐずついていた天候から一変、台風一過による秋晴れ。中秋から少し過ぎてしまいましたが “名月” も姿を現し、おだやかな日々がやってまいりました。朝日が差し込むリビングの絨毯に仰向けになり、ベランダ越しの庭を逆さに見れば、オナガのつがいが枝から枝へとじゃれ合いながらチ・チ・チと鳴いています。庭の端を陣取るサルスベリの葉は見事に紅葉しています。ようやく秋が来たようですね。例年のように、つるべ落としの秋の夕暮れが“ストーン”と訪れるのではなく、さながら春のようにゆっくりと、三寒四温を逆にしたような季節の移り変わりを見せてくれました。

そんな思いに独りふけっていると、点けっ放しのTVから軽快な耳慣れた音色が流れてきました。そう、私の好きな「パスコ超熟」のCMです。

「ポピポピポ・・・パパパパパパ・・・」

人気女優の深津絵里さん演じる移動販売車シリーズの『カレーサンド篇』です。のどかな風景の中で、おいしさを引き立てるように流れるスティールパンのBGM。リラックスした雰囲気が心を和ませてくれます。

このCMを見て「よし、今日はこれだ!」と超熟食パン5枚切りを買ってきて、いざつくろうとした時に、問題発生です。食パンにナイフが上手に入らない! 切れない! パスコさん、お願いがあります。スリットを入れたピタパンのようなカレーサンド用バージョンを発売してくれませんか。色々なサンドに応用できます。

可愛らしい野球少年が登場する『イングリッシュマフィン篇』も楽しいですね。

「まだぁ、まだぁ?」と子どもたち、
「まだまだ。」と深津さん。

そして、おいしそうな焦げ目が少しついたらハンバーグをはさんで出来あがり。野球少年たちが頬張ると“カリッ、サクッ”とおいしい音をたてるではありませんか。まさに食欲の秋にふさわしいTVCMだと、見るたびに感心してしまいます。

人に伝わるおいしさの感動は、誰しもが笑顔になりますね。


ベーシック・インカム

興味のある“物”ごとは徹底して調べたり、実際に見に行ったり。それが食べ物や飲み物であれば尚更の事で、即行で駆け付けます。反対に、興味のないジャンルも膨大にあるのが人の常というものらしく、私の場合はひときわ比率が極端過ぎるようです。特に「家電」が苦手ですね。

最近、胃癌の手術を受けて実に25キロほど体重が落ちました。体型も様変わりし、既成サイズの服が着られるようになりました。怪我の功名よろしく広がった選択肢のおかげか、齢七十にして洒落っ気が少し出てきたと家内に笑われております。

そうそう、「ジーパン」は68年間、はくのはおろか、手に取る事すらなかった縁のない“物”の一つでしたが、退院後に着られなくなった洋服を直しにデパートへ行ったところ、たまたま目に止まったのが、ジーパンでした。それまで3,000円前後のイメージしかなく、かつて青山通り沿いにあった「エイコー」の前を車で通るたびに「目につくランドマークだな」とやりすごすくらいの存在でして、知識はほとんどありません。ましてや穴が開いていたりヨレヨレだったりと、単なる「だらしない服」のイメージしかなかった訳です。そんな私が、

「これ、履けるかな?」

と、銀座のバーニーズ・ニューヨークの店内で手に取り、家内に尋ねたのは一体どういう風の吹き回しなのでしょうか。

「エッ、マジ? いいじゃない(笑)。試着してみたら?」

家内に背中を押されフィッティングルームへ。いざ試着してみると、どうした事でしょう! 鏡に映る、腰から踵までの美しいラインが「似合うよ!」と語りかけてくれる気がするほど、ピタッとフィットしているんですねー。「買っちゃえ、買っちゃえ」と内なる心が自惚れています。家内も店員も声を揃えて「お似合いですねー(笑)」。

という訳で、ジーパンに合うベルト、シャツ、ジャケットにシューズまでカリスマ店員の薦められるままにお買上げです。「入院、頑張ったご褒美ね!」。家内も既成の服が購入できる事に、心の底から喜んでいるようです。それではお会計をしましょう。エッ? ……まぁ、良しとしますか。がん保険の恩恵も少々あることですし。ちなみにジーパン1本、いくらだったと思います? ここでは書けませんが。

こんな出来事とは真逆の世界が世の中を動かしている事実を、私は知らずしらずのうちにジワジワと実感している昨今です。それはテレビで流れる某通販会社のCMです。軽快さと朴訥さが絶妙にバランスされた話術で

「なんと28型液晶テレビが1万9,800円、イチマンキュウセンハッピャクエンのお得な価格でお求めいただけます!」

家電に興味のない私には衝撃でした。だって十数年前に買った43インチの液晶テレビは、55万円もしたのですよ!

“物”の価値が変貌し全てにおいて格差が広がる現代社会と、これから私たちはどう向き合って生きるべきでしょうか。そして、追い打ちを掛けるように「ベーシック・インカム」なる新語がニュースを賑わせています。もう、わからない!


夢の叶う世界

関東を通過した台風の風が未だ吹き荒れる中、久し振りに陽が差し込んできたリビングでTVを観ていると、昨晩の「衆院選、自公大勝」を振り返っています。

時は変わって、2年ほど前の話を――。
NHKテレビから意外な言葉が耳に入ってきました。大写しでアップになったブーランジェが真顔で語るその一言は、聞き流せないものでした。

「料理に合わせるパンは、決して主役になってはいけないんです!」

とっさに私は体を起こして画面の男を注視し、こう思いました。「何を言っているんだ、彼は!?」。そして思わず笑ってしまいました。NHKのインタビュアーは頷きながら「さすが一流のパン職人の言葉には重みがありますね」と返します。

一流のパン職人?  開いた口がふさがらず、そのまま再び笑ってしまいました。ここまで言い切る“パン職人”とは? まぁ人は人、それぞれ持論がありますから好き勝手に言うものですが、奇をてらうような一時しのぎで何の根拠もない、無責任極まりない言葉はTVの世界ではよくあるようです。そして、この次のセリフがまたすごかったんです。

「パンだけは負けたくない!」

彼の店は行列の絶えない繁盛店だそうですが、私は彼のパンを食べたことがないので味を批評できません。しかし、言動は批評できます。マスコミに踊らされる、まるでピエロのようなパン屋さんが昨今のパンブームで持て囃されていますが、私はこの業界に従事する者の一人として声を大にして言いたい。

「パンは主食。パンは料理の主役です。」

彼は最後にこう言い放ちました。「私は材料にこだわるので、原価割れの商品もあります」。実際に周りの人から“儲かりませんね”と言われ、苦笑いを浮かべるシーンもあり、いささか滑稽でした。こんな番組を天下のNHKが放映するとは悲しいですね。NHKよお前もか、そんな気分です。


私の好きなピアニスト、フジコ・ヘミングは彼女の伝記ドラマの中でこう語っています。

「どんなに教養があって立派な人でも、心に傷がない人には魅力がない。他人の痛みというものがわからないからね」

私はいつもこの言葉をいろいろな事柄に重ね合わせて考えることが多いんです。

 教養=パン職人としての精神。
 傷=公正無私。
 他人の痛み=いつでも正義を貫ける人。

最後に、「他人に自分と同じ主観を持て」と強要するのはいかがなものでしょう。一歩譲ってパンと料理、どちらも主役だとしたら、“脇役”って何でしょう? その答えを見つけるのは、あなた自身です。

パンに合う料理、料理に合うパン。いつか夢の叶う世界へ旅立ったとき、果たして私はペンを握って、この答えをまだ探り続けているのでしょうか?

弊社社長 菅田耕司のコラム


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