コラム 三寒四温

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ノドグロのロールサンド

 魚の美味しい季節がやって来た。この時期は寿司屋のカウンターで、おしぼりをぬぐいながらネタケースをながめるのが楽しみだ。脂ののった新秋刀魚、コハダ、アジ、サバにイワシ。ヒカリものが特に美味しい。新秋刀魚は大トロのように少しあぶって煮きりをぬって丸ごとポンと口にほうり込む。青森は大間の大トロのあぶりと遜色がないほど口中に脂の旨みが広がり、ストンと胃に落ちていく。イワシとアジはおろし生姜とあさつきをのせて上から和歌山の湯浅醤油をおとして一口でいただくと一噛み、二噛みと旨みのハーモニーが口中に広がる。子供の頃あれほど口にしなかったヒカリものが、今では大好物になった。人の嗜好は年を重ねるにつれ変わっていくものだと妙に納得する今日この頃。
パン好きの私は自宅で煮魚を食すときは、食パンの薄切りを用意する。私がよく作るのは、今が旬といわれているが、本当は一年中美味しくいただけるノドグロの煮付けだ(正式名はアカムツという)。これがパンとよく合う。尾頭付きで入る鍋に日本酒を注ぎ、ノドグロを横たえる。火は中火で煮立ったらザラメをまぶして湯浅の醤油を酒と同量流し込む。生姜を一切れほうり込み、おとし蓋をしてグツグツ煮込む。途中で甘さ、辛さをザラメと酒・醤油で調整して(決して水は使わない)仕上げの前に下仁田のネギをぶつ切りでノドグロのまわりにほうり込む。大きめの皿にノドグロを寝かせ、氷水につけておいた白髪ネギをたっぷりと盛り、ネギを添えれば出来上がりだ。
身をほぐし、薄切りの耳なし食パンにのせ、白髪ネギを汁に少し漬けてロールする。一口噛めば、身が柔らかいのにプリプリと口の中で身ばなれして濃厚な脂とパンがマッチして、しかも白髪ネギがシャキシャキと主張する。この口中に広がるワンダーランドは筆舌に尽くし難い。是非一度ご賞味あれ。身を食べ尽くしたら煮えたぎった湯を頭と骨にかけて、骨湯のスープで締めくくる。食パンの供に合わぬ食材なし。

旅立った〝リュウ〟

 この欄でたびたび登場していた我が家の愛犬〝リュウ〟が九月十八日永眠した。いつも墓参りには連れて行くのだが、九月十五日の父の十三回忌にはとても連れて行ける状態ではなかった。その日は、癌に侵され余命一ヶ月と宣告されてから一ヶ月経過した日でもあったので、ドキドキしながら帰宅し、自宅の玄関を開けると、座りながらけなげにやっと振れる尻尾を動かし、目を細めて私達を見つめ帰宅を喜んでいたのだが・・・。
 〝リュウ〟は父が亡くなる年に生まれ、我が家へもらわれてきた。パンが好きで「おじいちゃんの生まれ変わりだね」などと娘が言っていたのが懐かしい。神田の事務所時代から毎日車で一緒に出社して、社員一人一人のデスクを尻尾を振りながら挨拶し、自分のマットに落ち着くのが日課だった。家内と一緒に銀行に行き、入口前で整然と待つ姿は、朝の目覚ましテレビ「今日のワンコ」で放映された。
 9月20日、深大寺の動物霊園にて多くの人に見送られ、花に囲まれて荼毘に付され、父と母の待つ天国へ旅立った。
 〝リュウ〟を可愛がってくださった方々に心より感謝いたします。

右足の一歩

 九月十一日に行われた衆議院選挙で自由民主党が、歴史的大勝利で単独過半数をはるかに上回る二九六議席を獲得した。しかも東京比例区では前代未聞の全員当選した他に、幻の一議席を獲得したが、ドント方式により他党へ議席を割り振られるという〝快挙〟まで小泉劇場は演出してくれた。
 選挙前のTVトークショーで、ある政治評論家が「自民党には不満があるが、民主党には不安がある。これが世論でしょう」と単純明快な解説をしていた。以前のこの欄では「真剣になったとしても深刻になってもいけない」とゴルフのプレイに触れた。相対する言葉の意味の違いは我々の日常生活の中に常に溢れている。
右足の一歩が不満の一歩であるならば、左足の一歩は不安への一歩なのか。不満を抱えつつもその道を進むのか、あるいはそれを投げ捨て敢えて不安の道を行くのか。そうではない。道は両足で進むものだ。
今回の総選挙では多くの国民が右足を選び自民党の大勝利に終わった。これが国民が待ち望む真の改革にどう影響してくるか。大きく踏み出した右足の行く末をいまこそ真剣に見据えねばならない。

十三回忌

 早いもので来週の十五日は父の十三回忌だ。私の生まれた昭和二十二年に弊社は父によって創業され、今年で五八周年、あと二年で六〇周年の節目を迎える。
順天堂病院で父を最後に見舞ったのが、十二年前の今日九月七日のことだった。勘当していた私をニコニコしながら主治医に「私の自慢の息子です」と紹介した時思わずこみあげてくる気持ちを精一杯抑えていたのを今でもよく覚えている。それから一週間後に父は天に召された。葬儀には多くの方々が参列してくださり、励ましの温かい言葉をかけていただき、改めて父の偉大さを痛感したものだ。それから十二年、私なりに頑張って弊社をなんとか今日まで続けてこられたのも業界の諸先輩方が色々な面で支えてくださったおかげであり、感謝の念にたえない。
 新宿の全パンビルに移転し、新事務所を構え、ベーカリーのためのパイロットキッチンも併設した。こうして再スタートが切れたのも天の父の後押しがあったからだろう。そして「しっかり六〇周年を迎えろ!」と父の激がとんでいる〝気〟が感じられる。

弊社社長 菅田耕司のコラム


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