コラム 三寒四温

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これで良いのだ

 50年以上も前の話になるが、小さな缶に入っていた、あるうま味調味料は小さなスプーンでポイポイって、漬物にかけてから醤油をたらして食べていたのを思い出さないだろうか。 当時、町のラーメン店でおいしいと評判の店は、客の目の前で誇るように小さじ2杯ぐらいポイポイッと器に投げ入れていた。私たちの世代は“うま味調味料”で育ったのだ。そうそう、学生時代に父の会社(日本パン菓新聞社)でアルバイトをしていた頃、神田駅のガード下にあるオープンエアーの店の前では、店の親父がタオルを頭に巻いて、朝の7時頃から七輪でパタパタと秋刀魚や鰊を焼いていた。よくここで朝ごはんを食べた。5人ほどしか入れないうなぎの寝床のような立ち食いのカウンターが満員の時は、表の自転車の荷台をテーブルにして、黒焦げの秋刀魚定食をオーダーする。どんぶり飯の上には、鯨のベーコンのせん切りがこれでもかというくらい、飯を隠すほどのっていた。そして「あいよー」って親父が得意そうに小さな缶から“例のもの”をたっぷりかけてくれる。その上に醤油を回しかけてから、まずはかっこむ。このひとくち目が至福のときだった。ふたくち、みくち、秋刀魚の存在を忘れるがごとく、もう箸がとまらない。今ではスーパーに行くと、鯨のベーコンは80グラムで2,500円もする。あの頃のどんぶりにのっていたベーコンは、軽く150グラム位はあったのではないか。今ではそうそう食べられる食材ではないけれど、月に一度ぐらいは無理して楽しんでいる。本当にはまるよ、この「ベーコンどんぶり」。
  先月、ラーメン激戦区の荻窪で、この“旨み調味料”を“ウリ”にしているラーメン店を見つけた。駅前の小道をちょっと入ったすぐのところにある「M」。L字のカウンター席は12~3席ほどで、手前には“五衛門”の茹で釜が湯気を上げている。メニューはラーメンとワンタンメンのみ。夫婦2人で忙しい店をしきっている。調理する姿がカウンター越しに良く見える。いま入った5人の客のラーメンどんぶりが並べられて、奥さんが調味醤油と刻み葱を手際よく入れていく。そこで親父の出番だ。手垢で光った年代物の例の“旨み調味料”の小さな缶から小さじでポイポイってリズムを取りながら入れていく。そしてスープを目分量で注いで、すばやく五衛門釜から麺を取り出して腰に左手をやり、湯をチャッチャッと芸術的によく切り、どんぶりに均等に折りたたみながら丁寧に入れていく。麺が入ると奥さんがメンマとチャーシュウを手際よくほうり込む。見ていて楽しいリズムだ。「ハイ、お待ち!」まずはスープだ。「懐かしい味ね」「いやいやまいったね」。 最近は博多だ、家系だとかで、どこへ行っても豚骨醤油味で辟易しているが、この味は忘れかけていた何かを感じ“ホッ”とする。麺もメンマもチャーシューもこのスープにはよく合う。懐かしい昔のラーメン。家内と二人でスープを飲みほした。ごちそうさま。最近は無添加食品がもてはやされているが、私の場合はこれで良いのだ。

弊社社長 菅田耕司のコラム


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