コラム 三寒四温

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ゴスペル その2 ~視察研修記 Ⅲ~

 自由の女神像からの粋なプレゼントはプロテスタント教会での「日曜礼拝」でした。しかもゴスペルソングを楽しみながら神様を賛美できる。我々研修団一行はIBIE視察を前に、アメリカ合衆国の建国に、なくてはならなかった一つの大切な文化にふれる機会を与えてもらいました。

 そして「ゴスペル」と言えば、誰もが思い描くのが黒人女優のウーピー・ゴールドバーグさん演じるクラブ歌手が修道院で騒動を巻き起こすコメディ〝天使にラブソングを〟でしょう。あの歌唱力は素晴らしく、優しくて美しいですね。そんなイメージで一行は初めての日曜礼拝、それもゴスペルとなれば誰しもが胸を高鳴らせて教会へ足を踏み入れた事でしょう。2013年10月6日、日曜日午前8時30分、我々は期待を胸にニューヨークはブルックリンのタバナクル教会の中に大勢の信者に混ざって礼拝の始まりを待ちます。二千人、いや三千人は入ろうかという巨大な劇場のような教会に圧倒されます。ステージ奥の雛壇には200名ほどの信者がスタンバイしていました。

 午前9時。ステージにギターを抱えた人が登場すると、会場内の全員が立ち上がります。見渡せば超満員で空席一つありません。天井のあちらこちらから小さなモニターが出現して讃美歌が英文で映し出されました。ギターのリードボーカルにあわせて全員で歌います。賛美します。♪ハレルヤ♪ 身体を揺すり両手を打ち鳴らして、天へと抜けていくかのように響き渡る讃美歌。この感動はここにいなくては体感できません。今までに見た、どのミュージカルよりも臨場感あふれる歌声は、皆で創り上げる壮大なドラマの始まりの予感。この高揚感は1時間近く続く賛美です。いったい何曲、立ちっぱなしで歌い続けていたのでしょうか。周りの仲間もスイングしながら両手を叩いてステージに向かって歌っています。やがて牧師の説教が始まりました。座ってジーッと聞き入る会衆の中から、時おり「ああ、ジーザス」「アイ・ビリーブ、アイ・ビリーブ」「ハレルヤ!」の声に混ざって嗚咽する人、ハイ、ハイその通りですとばかりに頷く人たち。説教が終われば全員が手をつないでハレルヤの大合唱。最後は隣や前、後ろの人たちと握手したりハグしたり、心の歌で結ばれた新しい友情は生涯忘れる事はないでしょう。

 何かが心に宿ったはずの我々は、晴れ晴れと教会を後にしました。エッ? 何が宿ったかって!行ってみればわかりますよ。

幸せ ~視察研修記 Ⅱ~

 犬のしも かみで拾えば 枯葉舞う

 ♪ The falling leaves drift by the window ♪ 季節を肌で感じながらの夕方、戦災で焼失した都内各地のお寺さんが区画割りで移住してきた下高井戸の一画が、お決まりの散歩コースです。つい先ほどまでお寺の緑青色が渋い銅葺屋根が夕陽に染まっていたのに、いつの間にか夜の帳が下りてお寺さんの屋根の上には、それはそれは大きなまん丸いお月さんがお出ましになりました。ここいらは五〇年を超える桜の大木や、欅、大銀杏など緑が多く、土と草の香りが都会の喧騒を一時忘れさせてくれる静かな住宅地でもあります。ですから、狸が棲んでいるんですよ! サ・サーッと〝家族〟で我が家の前を通り過ぎたりもします。もしかして、證誠寺(しょうじょうじ)の分寺でもあるのかもしれませんね。

 と、いう訳でちょっと寄り道してしまいましたが、先週の続き「ノブ・ニューヨーク・トライベッカ」のくだりです。南米のエッセンスを少々組み入れた松久信之シェフとロバート・デ・ニーロさんの共同経営となる創作日本料理のNOBUレストラン一号店です。私達は次の訪問地、ラスベガスの名門ホテル「シーザーズパレス」内に今春リノベーションされてニューオープンしたNOBUホテルのノブ・シーザーズとロサンゼルス近郊のマリブリゾートビーチにある「ノブ・マリブ」そしてノブさん自身の一号店、ビバリーヒルズの「松久」それぞれ4店舗のレストランで食事を楽しんだのですが、素晴らしい事にニューヨークから順番に我々に出されたメニューが行く先々のレストランへ報告されていて、同じ料理がサーブされることはなく、しかも寿司ネタさえ同じ握りやロール寿司が出てくる事はありませんでした! その上、予約すら困難なのに全店舗で21名の席をすべて快適にセットアップしておいてくれたスタッフにも感動しました。

 私はここで、あえて味やサービスの評価をしたくはありません。なぜなら、東京にも「ノブ」があるからです。まずは東京で、そして機会があれば、世界の「ノブ」を訪れてみて下さい。感動と笑顔と満足と、そして幸せがそこにはありますから。

ゴスペル Ⅰ

2013年10月4日 金曜日

 IBIEベーカリーエキスポ視察研修団一行は、米国議会で予算案不成立に伴う政府機関の一部閉鎖という、まさにそれが実行された週末に、ニューヨーク・ジョン・F・ケネディ空港に降り立ったのです。我々が予定していた6日の日曜日は閉鎖が決まっていた自由の女神像観光でしたが、前日までの解決はなく閉鎖の継続が決定されました。バスでの移動中に遠望できたリバティ島の自由の女神像も世界経済をも揺さぶりかねない「オバマ・ケア」という看板政策の行方を見守りつつ立ち続けているかもしれませんね。さて、日曜日はどうしたものなのか。今夜のディナー中に決定しなければなりません。

 土曜日の夜、ニューヨークのダウンタウンはひっそりと静まり返っていました。タイムズスクエアのホテルからバスで20分程乗った頃オフィス街のビルの一角がほの明るく見えます。しかしその前に人通りはありません。バスはそこに停まり、ドライバーが「あそこだ」とアゴをしゃくったので、迎えの時間を指示して全員でほの灯りのある一角に向かいドアを開けると、ワーン!と熱気と活気が体に当たってくる気配を感じたのは私だけではないでしょう。アメリカっていうか、ニューヨークらしい、とびっきりの笑顔の接客も、なにか凛としているセレブな受付嬢が出迎えてくれました。

 話をまとめてみましょう。闇にたたずむビルの一角に、ほの灯りがともるレストラン。もちろん、ネオンも店名のライトアップもありません。重厚でいかにも格式高そうな入口のドアを開ければ、凛とした受付嬢がとびきりの笑顔で我々の席まで案内してくれます。カウンターもテーブルも空いている席はありません。お洒落にきめたファッショナブルなお客は皆、リラックスした感じでワインを傾け、お喋りと食事を楽しんでいます。さあ、お楽しみはお約束通り、世界一予約の取りづらいといわれるノブ・ニューヨーク・トライベッカでのディナーの始まりです。我々も楽しまなくちゃ。

 まずはビールでカンパーイ!
 料理とワインと弾む会話、そして、セレブな雰囲気を楽しみながら決めました日曜日の件。自由の女神像が駄目なら、ゴスペル教会へ行こう!という訳で、翌日曜日、我々一行は、日曜礼拝に出かけることとなりました。以下次号

未来への道標

製パン企業の生産現場は逸材の宝庫だ。

 「未来のパン産業」をテーマとした日本パン工業会50周年記念事業懸賞論文の入選作品を読んで私は確信しました。懸賞論文の審査委員長である井上好文氏は選考にあたって「パン産業の今後の更なる発展に向けた取り組みを意欲的に考えている方々が多いのに感心しました」と言われている通りに、業界の現状を的確に把握して未来を予測する、応募者それぞれの個性豊かな論文は、確かな未来への道標となることは間違いないでしょう。3つの優秀賞から、神戸屋関東企画開発部の秋吉直樹さんは「夕食にパンを食べてもらうためには、料理との相性だけではなくご飯との差別化、ご飯と比べての優位性を持たせなければならない」。この優位性! これは未来への大きなヒントに違いない。皆で考えてみましょう。

 山崎製パン安城冷生地事業所生産課の山口さやかさんは、『挑戦し続けるために4つの〝目〟からヒントを見つける』と題して、「いったいどれだけの従業員が未来のパン産業について考えているだろうか。おそらくほとんどの従業員の目は、目の前のロス、生産高、工程時間などに向けられているだろう」「自分達は目の前のことをこなすのが仕事だから、新たな試みや方針は上の人が考えるだろう……という考えがどこかにあり、受身で指示を待つだけの保守的な職場環境を作ってしまっている」と手厳しい。しかし、「他部署との意見交換、同じ職場での相互評価など、従業員一人ひとりの意識を向上させて一体感を持てれば、強い職場になれる」と鋭い指摘で結んでいます。皆で強くなりましょう。

 フジパン東京工場製造課の高橋昌幸さんは論文の出だしが鋭い。「新商品も消費者のニーズを追求するあまり、最近では類似品であふれ、凡庸なものしか生まれていない。パン産業全体がトレンドの後追い状態に陥ってしまっており、自らが先頭に立ってパン食文化を切り拓いてゆく力強さや気概を失っているように感じる。今こそプロダクト・アウトの方向へ舵を切り、豊かな国民生活を主体となって創出していきたい」。マーケットのニーズよりも製品のスペックをあげることは難しいけれど、チャレンジですね!

 このような個性ある想像力が豊かな発想を持った現場の方々が我々、未来の、世界の食文化を担ってくれる事でしょう。

行列

 3年に一度、ラスベガスで開催される“ベーカリー・エキスポ”に合わせて、ニューヨークへ立ち寄った弊社企画の研修旅行の一行21名はエイミーズブレッドの新工場へ直行して大歓迎を受け、新工場視察とご自慢のサンドイッチやオリーブの乱切りを入れた新作の細長いバゲット(これすごくおいしい)やカラフルな甘~いケーキをいただきながら、ニューヨークのパン事情など貴重なレクチャーを受けました。最後にエイミーさんに「今流行のクロナッツやカナダから入ってきたジャパドッグはいかがですか?」と質問すると、「あまり興味がないからわからないわー。並んで買う時間もないしね」とウインク。それは何を意味しているのか。3日後、両店に立ち寄ってそのウインクの秘密を理解しました クロナッツを販売している店は数年前まで日本人経営のベーカリーだったそうですが、退店したあとにこのベーカリーが入店して、今年の春に売り出した“クロナッツ”(クロワッサン生地で作ったドーナツにさまざまなトッピングを飾る)が大当たり。今でも早朝より行列ができるその訳は一日、300~400個の限定販売にありました。開店わずか1時間で売り切れるうえ、週に一度ある予約電話も繋がらない、いわゆる“パニック販売”ですね。商品も見た目で味の見当がつくような、カラフルなトッピングのいかにも甘そうなのはニューヨーカー好みなのでしょう。

 “ジャパドッグ”はカナダで日本人夫婦が始めた創作ホットドッグ店で、帰国後の10月21日にテレビ東京系の「未来世紀ジパング」でも特集されていました。カナダで成功して、昨年満を持してニューヨークに出店した際に「全米制覇を目指します」とコメントしていました。私たち一行は土曜日の昼頃に、早速「ジャパドッグ」なるものを食べに訪れたのですが、行列どころかひっそりとした店内だったのが意外でした。メニューにはお好みドッグや焼きそばドッグ、おろしドッグなど、名前の通りにホットドッグの上に大根おろしなどアンバリーバボーな食材がのっかって1本約4ドル75セントです。皆と分け合いながら試食してみました。「ソーセージはおいしいね!」「でも、このパンはなんだろう? 甘いし、ベッチャリするし」「セントラルパークあたりの屋台のドッグパンと変わらないね」「創作ドッグはすき家の牛丼にカレー丼の具や焼きそばがのっかっている、アレに発想が近いね」というほぼ全員の評価でした。ちなみに未来世紀ジパングのインタビューでは「パンの開発に6カ月を費やしました」とのコメント。
……エイミーさーん!?

弊社社長 菅田耕司のコラム


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