コラム 三寒四温

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五島のアワビ

「微熱があるみたいなんだけど、どうかな?」

すると家内は互いのおでこを当てて「ないわね」と、ソファに乗ってきた愛犬をなでながらそっけない。

「鼻水と咳がとまらないよ」

と言えば、

「風邪を引くのは自己管理がなってない証拠ね」

と切り返されました。

いやあ参りました、これは昔からの私の口癖でしたから、家内に一本とられてしまいました。

最近、体のあちこちが悲鳴を上げ始めてきました。風邪のような症状もそこから連鎖反応しているのかもしれません。医者から処方してもらった神経系統の治療薬はネットで調べてみたら悪い副作用が全て当てはまったので服用を中止したばかりです。ですからビリビリと手足がしびれて坐骨神経痛も再発してしまいました。

痛みは連日の晩酌も一つの原因かもしれないな、と「当分アルコールは控えてみるか」と思った矢先、わずか3時間足らずで卑しい私の欲望が覚醒してしまい、禁酒の誓いが破られる出来事が起こったのです。

「お届けものでーす」

発泡スチロールに梱包された宅配便を開けた瞬間、思わず歓声を上げてしまいました。「オー!」。それを聞いた家内が「何事なの?」とやってきたので蓋を元に戻して「開けてごらん」と促すと「ワァー! すごく大きい!」と目をクリクリと輝かせました。それは五島列島に実家がある友人からのサプライズプレゼントでした。5百グラムを超える特大の黒アワビが7個。さらに下の段には、私のこぶし大ほどの巨大サザエがビッシリと並んでいるではないですか!

アワビの刺身にサザエの壷焼きといえばビールと日本酒ですよね。さっそく孫たちを呼んで“五島の磯祭りディナー”のはじまりです。「こんなに大きなアワビは見たことないわ」という娘の一言、贈ってくれた友人に聞かせてあげたいですね。大盤振る舞いで1㎝ 超えにスライスしたアワビを、キモと生姜と仙台味噌をまな板でたたいたキモダレをたっぷりのせていただく私流の食べ方でまずは一口。キリッと冷やした村祐“夏の生酒”と共に味わえば、体の不調はどこへやら。一度やってみたかった特太ブツ切りのアワビ刺しは至高の絶品で、コリコリとした食感と磯の香りが鼻に抜けて「もうたまらん、いうことなし!」

さて明日は物置から囲炉裏を引っ張り出して、壷焼きと炭火の踊り焼きで、父の日にもらった地ビールを頂く事にします。というわけですから、風邪どころか痛いイタイと言ってみても、誰も心配してくれないのは仕方ないことです。

大見得を切る

日本列島は4日連続となる真夏日を記録した。

「いくぞ!」
「オー!」

江戸川区球場には準決勝を勝ち上がって汗と土にまみれ陽に焼けた選手達の元気な声が上がる。
先攻はパスコ利根工場チーム、後攻めは山崎製パン武蔵野工場チーム。13時58分、主審のプレーボールの宣言と同時に球場全体に開始を告げるサイレンが響き渡る。熱くなるまで、あと2時間。

準決勝で山崎武蔵野工場に敗れ3位となった山崎製パン横浜第1工場チームの半下石選手は2本塁打、1三塁打を含む驚異の打率7割5分という記録を打ち立てた強打者だ。「もしも」決勝に彼が立っていたら、とんでもない記録が生まれていたかもしれないな。そして「同点で130分を超えればサドンデス」というルールがなかったら、この決勝戦にはどんな結末が待っていただろうか。“もし” “たら” “れば”が頭をよぎり、妄想をかきたてる。

役者は揃った。メークドラマの始まりだ。4対4の同点で迎えた8回表、すでに時間は15時58分。この回で得点しなければ1アウト2・3塁から攻撃開始というサドンデスルールに入る。が、この回が勝負だ。誰しもそう思った。

パスコのトップバッター福澤選手がレフトオーバーのツーベースヒットを放ち、右手を天高くかざして大声で何か言っているが歓声にかき消されて聞こえない。次打者の吉澤選手も続いてレフト前ヒット。ノーアウト1塁3塁、パスコの絶好機だ。

「これで決まるな」

そんな予想を鮮やかに覆す“ドラマ”が待っていようとは。3回途中からリリーフに登った山崎製パン武蔵野工場チームの嶋田投手の力投と守備陣のファインプレーもあり、なんと無失点でこのピンチを切り抜けたのだから野球はわからない。

実は筆者、このスリーアウトを見ていない。「強打炸裂、パスコ初優勝」と原稿を急いで書いていたら、見損なってしまったのだ。どよめく観客、沸き起こる大きな拍手。ビデオのリプレイは無い! グラウンドはすでに8回裏ツーアウトの場面、熱戦が続く。「ここは俺が決める」とばかりに嶋田選手の痛烈な一打はファーストベース内側ギリギリに砂塵を上げて抜けるライト前ヒット。次打者はファーストを守る先発エースの東海林選手。バットをためて振り抜いた打球はセンター前ヒットとなり、二死1塁3塁。今度は武蔵野の好機だ。

一打逆転サヨナラのお膳立ては整った。まさに野球は最終回ツーアウトからが面白い! バッターボックスに入る国貞選手。

「大見得を切ってみろ国貞!」

誰かが心で叫んだ。

インプラント

私は月に一度、歯科医院で“デンタルケア”をしていますが、先月のことです。

「半年前は11ミリあった歯周ポケットが3ミリまで改善しています。毎日の歯磨きを上手にしていますねー」。

20代後半のかわいい歯科衛生士にほめられてしまいました。これ意外と、照れ・クサ・うれしです。

永福町駅前にある掛かりつけの歯科医院は、品の良い知的なママさん女医をはじめ3人の若い女性歯科衛生士が地元の子供やお年寄りを率先して、女性ならではのやさしくてあたたかい歯科治療を行っているので評判です。

デンタルケアが終わって外した入れ歯にこびりついた歯石をけずってもらっているときの会話です。

「インプラントにすると350万円っていわれたんだよ。でもそれは高すぎない? で、友人の歯科医師にお願いしてこの入れ歯は保険で6500円で作れちゃったの。装着すると上あごにちょっと違和感があるけれど、丈夫でもう10年にもなるんだよ。けれど、その先生、若いのにガンで急逝してしまってね、この歯は遺作なんだよ。大事にしなくてはね」
「私が前に勤めていた医院で、80歳のおじいちゃんが“フランスに行って焼き立てのバゲットが食べたいから”って、800万円かけてインプラント手術をしたんですよ」
「80歳? 保険の入れ歯でいいのに」
「死ぬ前に自分の歯でおいしいもの食べたいから、と話していました」
「すごい執念だね! 子どもたちは反対しなかったのかな(笑)」
「このおじいちゃん、銀行で手術費を振り込むとき“振り込め詐欺”ではないかと行員が心配していたそうです」
「おじいちゃんの“その後”が知りたいね。パリに辿り着いたかな?」
「高齢化の進む現代では、歯をインプラントにして、豪華客船に乗船しておいしい料理を楽しみながら世界を巡って余生を過ごす方が大勢いらっしゃるらしいわ」
「箪笥貯金パワーはすごいね! オールインプラントでバゲットを噛みちぎって食べたいって、ナンカわかるなー」

レリゴー

私達夫婦が毎週礼拝に通っている教会で先週、
教会員の方の前夜祭(お通夜)が執り行われました。

「ここのところ、あまりお見かけしなかったけど……」
「2年間も闘病生活を送っていたとは」
「つらかったでしょうね」

その方はいつも寡黙な紳士でした。
朝の挨拶では「おはようございます」と照れたような感じでニコッと笑顔を返してくれたのが昨日のことのように感じられます。讃美歌が流れる中、たくさんの花で覆われた祭壇の中央に飾られた遺影はお元気だったころを彷彿とさせる笑顔で、胸に熱いものがこみ上げてきます。

「人生のお別れって、本当に淋しくて辛いものだね」
「ウン」

家内はずっと遺影を見つめながら想い出をたどっているのでしょうか。
時たま、「ウンウン」と小さく首が揺れていました。

   ★       ★       ★

「コージさんはどうしていつもあっちこっちイタイ・イタイって言うの?」

5月24日土曜日の夕方、運動会が終わって駆けつけてきた日に焼けた小学生の孫娘が、B・B・Q の串をかじりながら尋ねます。

「年を重ねるといろんなところが痛くなるんだよ」
「じゃあね、イタタとか言って立ち上がらないで、レリゴー!って言ったら、
 イタイの無くなるかもよ」
「それはどういう意味なの?」
「ゥフー。ご馳走様でした」

子供はスイッチの切り替えが早い!
食事と話もそこそこに次は姉と一緒にダンスと歌が始まりました。

~♪ レリゴー♪ レリゴー♪~

おや? これは今話題の「アナと雪の女王」ですね。

「なーるほど!」
「ありのままで空へ風に乗って…… Let it go!」

人生は思いもかけずに“生”を受けてからは多くの人との出会いを体験します。そしていつかは迎える旅立ちの時。旅立つ友を“送る”ことは何より淋しい。けれども私達には“明日”が必ずやってくる。 翌日、レリゴーな生活に“チェンジ”(少し古いですね)したことを家内に告げると「よーし、生涯現役!」と喝を入れられました。

とりあえず今日も一日、Let it go!

弊社社長 菅田耕司のコラム


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