コラム 三寒四温

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ルノー家のおもてなし

ファブリスパパ! ママ! そしてイベット! アンヌ!

みんな7年前と少しも変ってないね。満面の笑みを浮かべながら両手を広げて我々を出迎えてくれました。ファブリスパパとのハグの後は

「太った?」
「Kojiもね」


…顔を見合わせておもいっきりの大笑いです。
オリーブの蔦を絡ませたルノー家の門をくぐると以前と様子が少し変わっているような…

「アッ! プールがあるよ。パーティールームの横には
 テラコッタのオープンテラスが…アッ、ピザ窯も作ったんだ!」


ファブリスパパは自宅の増築からガーデン、別棟のパーティールームやオープンテラスまで全て手作りでこなす、とても器用な方です。そのパワーは計り知れません。そしてファブリスママの作る料理は、決してレストランでは食べられない数々のレパートリーがあって、タプナードやパンにいたるまで全てお手製のプロヴァンスの郷土料理なんです。この夫妻、やはり底知れぬ何かが宿っているとしか思えません。そしてファブリスママのお手伝いで参加してくれたルノー家との仲良しご近所さんのイベットとアンヌ。いつもながら2人のお料理の味とホスピタリティ、これまたパーフェクトで半端ではありません。

7年前にはポンパドウルの蔵田常務をはじめ20名ほどで訪れたのですが、ごく自然でありながらも全てに半端ない温かな親しみを覚え、皆が寄せた感動が忘れられず、次にアルルを訪れるときには再びこの一家を訪ねて、新たな参加者と共にその素晴らしさを共有したい、そんな念願が叶いました。7年前に記念植樹した木は今年もピンクの花をたたわにつけたそうで、その満開に咲き誇る写真が今日のパーティーメニューの表紙を飾っていた事を知ったとき、ついホロリとしてしまいました。花の名前もメニューに書かれている料理も全てフランス語なのでまったく理解ができません。しかし、料理は一口食べれば理解できます!

我々一行が出発までに与えらえた2時間半はまたたく間に過ぎ去り、後ろ髪を引かれる思いでルノー家を後にしました。私の友人である息子さんのファブリス・ルノー氏は、アラン・デュカス・エンタープライズ・ジャパンの社長として銀座のシャネルビル最上階にて同社とコラボしたフレンチレストラン「ベージュ・アランデュカス東京」をはじめ、青山と大阪ではアラン・デュカスシェフのエスプリ漂うカジュアルなフレンチレストラン「ブノワ」の展開などを手掛けております。

いよいよマルセイユ空港から最後の訪問地、ドイツ・ミュンヘンへ向かいます。世界の最先端の技術が集結する製パン・製菓のエキスポ「iba 2015」、そして明日は世界中のブーランジェから選抜された各国の代表によるiba Cupに日本チームが出場します。今度こそ優勝だ!倉田総監督の意気込みが目に浮かびます。

マグダラのマリア

毎年4月に全世界で行われる“復活祭”で、彩色された鶏卵(イースターエッグ)をキリスト教信者同士で贈り合い、それを食べる習慣はマグダラのマリアが皇帝ティベリエスに紅い鶏卵を献上してキリストの復活を伝えた事が始まりだそうで、復活の記憶がこの儀式により今日まで2000年にわたって続いています。

私達iba2015視察研修の一行は、サント・マリー・ド・ラ・メールから100㎞ほど離れたサントボームの洞窟内に籠ってそのマグダラのマリアがイスラエルから追放されたのち、33年間祈り続けたと伝説にある地を目指します。

貸し切り大型バスでサンボームの山を中腹までクネクネと登り、修道院前で下車。ここから絶壁の岩山を見上げると、はるか上方は霞がかって洞窟が見え隠れしています。登頂のルートには〝王様の道〟といわれる少し整備された穏やかな道もあるのです。が、ここは気合いを入れて・・・

さあ登るぞ!

かなり険しい、まるで獣道のような山道は昨夜来の雨で粘土質の土がぬかるんで、なおさらに行く手を阻むかのようです。

「40分ほどで着きますよ」
というガイドさんの言葉を信じ、幾度も腕時計を見ては

あと何分、あと何分…

と自分を奮い立たせ、
しっかりと足元を見て固めて一歩一歩進みます。ガイドさんが拾ってくれた棒で地面を突き、腰痛を我慢しながら30分ほど登ったところで、私は力尽き足を滑らせて急勾配を背にもんどり打ちそうになりました。

アッ! 万事休す。皆に迷惑をかけるなぁー。
死ぬのかなー


コンマ1秒の間、まるで走馬灯のように色々な思いが頭をよぎります。

しかし「アッ!」と声を発した瞬間に、小柄な土倉君が(彼は㈱理研香料から参加されています)両手で私の背中を「バシッ」と支えてくれたのです。

「ありがとう土倉君。
 しかし、よく重い僕をスリムな君が止められたものだね」

「いえ、とても軽かったですよ」

後ろを振り返ると急勾配に乱雑に作られた階段が50mほど続き、その先には断崖が広がっています。ともすれば二人一緒に転がり落ちていても不思議ありません。

それから30分後に辿り着いた洞窟内には大きな十字架の周りに大小いくつもの蝋燭が炎をかすかに揺らし、厳粛な雰囲気が漂っていました。膝を折って全員の旅の無事を祈っている時、私は「ハッ!」と気付かされました。

あの時、土倉君の両手を聖霊が共に支えてくれていたのだ!

だから「軽かったですよ」と彼は言えたのだ。
これは“奇跡”なのですね。

「滅茶苦茶で破天荒な君だから、
 イエス様は君を助けてくれますよ」


と、尊敬する方から背中を押されて洗礼を授かった日の事を思い出しました。おかげで聖霊はいつも守っていてくれるのです。今度は命までも救っていただきました。父と子と聖霊の御名において感謝いたします。


心を入れ替えてこの後、我々一行は7年振りとなるマルセイユ近郊のルノー家を訪問します。


.

ヒストリックタウン「アルル」

「iba2015」の研修視察団一行はミラノから次の訪問先、南フランスの地中海に面する温暖なプロヴァンス地方にあるヒストリックタウン“アルル”に到着しました。

歴史ある城塞の街・アルルは、
ゴッホが愛した街。

アルルの跳ね橋や夜のカフェテラスなど、いたる所にゴッホの面影がしのばれます。つとにビゼーの組曲「アルルの女」と同名の絵画も有名です。我々一行が到着した日よりアルルは初穂祭りやブドウの収穫祭などのお祭りで、小さな町は人・人・人であふれ、メインストリートには多くの屋台が出店していました。

中でも直径2mはあろうかという巨大フライパンでつくるパエリアは大人気で、あちこちに大きなパエリアの屋台が出ているのはスペインに近い位置にある影響かもしれません。

パエリアといえばスペイン、スペインといえば闘牛ですね。
初穂祭りには必ず闘牛が開催されます。南仏はスペイン系の移民も多いとかで、人気のマタドール(闘牛士)もほとんどがスペイン人だそうです。

私の目には残酷に映る闘牛ですがローマ帝国以来の血を引き継ぐ国民性なのか、西暦90年に建設された円形闘技場の観客はマタドールの華麗な動きに一喜一憂しながら拍手を贈り、生のフルオーケストラとソプラノ歌手がまるでオペラのように会場の雰囲気をさらに盛り上げます。しかしイルカ漁や捕鯨に反対する過激なシーシェパードなどの動物愛護団体は、影すら見えないのはどういう事なのでしょうか? 建前と本音の違いの答えはこんな所にも〝あった〟という訳ですね。

アルルからマグダラのマリアがイエスの処刑の後、聖母マリアの妹のマリア・サロメ、ヨセフの妹のマリア・ヤコブと共にサラ、マルタ、ラザレを乗せた舵も帆もオールもない小舟でイスラエルを追放されて辿り着いたとされるアルル近郊の港町、サント・マリー・ド・ラ・メールを訪れました。

「海の聖マリアたち」
そんな意味を持つこの街は世界中から巡礼者が訪れるそうです。中でも1900年代になってから聖人とされたサラの像を、辿り着いた海へと大勢で担ぎ入れて栄光を称える秋の巡礼祭りはたいへん賑わうそうです。しかし近年話題になった「ダヴィンチコード」ではサント・マリー・ド・ラ・メールに辿り着いた3人のマリアたちの記述はありません。

「教会に祀られている黒い彫刻のサラ像は、実はイエスキリストとマグダラのマリアとの間に生まれたキリストの子である」

という伝説だけはダヴィンチコードに記載されています。このあたりがまた謎めいていて、神秘的な妄想の世界へ私達を引きずり込ませるのですね。

さて、次回は「マグダラのマリアを訪ねて」です。

※こちらのタイトルいをクリックしていただきますと、
過去のアルル関連の記事“牛追い祭り“ブイヤベース”などの記事をご覧いただけます。

弊社社長 菅田耕司のコラム


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