コラム 三寒四温

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連歌

私をひいきにしてくれる製パン業界の重鎮の方で、素晴らしい俳句や短歌を即興で詠んで楽しませてくれる達人に宛て、ド素人の分際で恥ずかしながら、私の退院後の心境を一首メールしたところ、すかさず返信がありました。そのやり取りをご紹介しましよう。

 うぐいすの
 鳴き声聞いて
 目覚めれば
 ここは我が家と
 心安らぐ


   ~ 返歌~
  病癒え
  我が家に帰る
  友の声
  我も華やぐ
  桜咲くに似て


すぐに返信されてきた短歌とともに、「本当にお疲れ様でした」とメッセージが添えられていました。本当に心温まる返歌に感謝です。これからもしばらく、養生を続けなければなりません。

最後に一首。

 見上げれば
 端月夜桜
 北の風
 踏んばる蕾
 明日こそ咲かん


前日の夜に、東京は3月では珍しく雷と共にヒョウが降り、庭一面が真っ白となりました。咲きかけた桜もさぞ驚いたことでしょう。

養生も、桜の蕾のように何があっても騒がず、動揺することなく、温かい日が来るのを信じてじっと待つように、気長に構えていれば、また違う日常の何かが見えてくるかもしれませんね。

勿怪の幸い

「胃癌ですか―」
「5センチ大の“がん”が胃壁にへばりついていたんだ」
「でも大丈夫だよ。10日ほど入院すれば日常生活が過ごせるよ。胃癌の治癒率は今日では9割を超えているからね」

ほとんどの友人が「胃癌で良かったね」と励まして(?)くれるので、なんとなく安心して入院、諸検査の後、2日後に開腹の手術を執り行いました。

術後6日目の夜の事です。
かかりつけのナースが傷の状態をチェックにやってきて、何やら不安げな表情で医師を呼びました。

「先生、どうですか?」

その後、次々と医師が私の部屋に駆けつけてきます。

(ナ、何なんだ?)

するといきなり主治医が

「菅田さん、奥さんを至急呼び出して下さい」

と意外な一言。

「エッ、どうして?」

手術の際に、腸内に生息している何がしかの菌が増殖して内臓を押し上げているとのこと。

「緊急オペを行います」

という訳で、同意書にサインするために家内が到着するのももどかしく、私はベッドごと移され夜の手術室で独りスポットライトを浴びました。「3・2・1」。……私が目覚めたのはICU(集中治療室)の一室で、傍らでは家内が心配そうに私の手を握っていました。

深夜2時30分の事です。こうして私はICUで10日間ほど過ごした後、いつもの個室へ戻されました。

この日以来、約30日間、飲食禁止です。

ICUでの検査で、小腸に小さな穴が発見されたからです。胃ろうによる食事取り込みで穴をふさぐ処置も始まりました。

そして2月8日の入院以来、実に45日目の3月23日に退院する事ができたのですが、その間に2度にわたる開腹のため、傷んだ肉を切除して新たな肉を盛り上げさせる形成外科の治療も週に3回のペースで自室のベッドで処置を受けるなど、苦しく辛い毎日が続いていたのが遠い出来事だったように思えるのが不思議です。今では週に一度だけ形成外科の処置のために通院しています。

ICU内で担当医に

「もう一度、開腹手術を行うかもしれないですよ」

と言われた時はかなり絶望しましたね。ともあれ「胃癌で良かったね。10日間ほどで日常生活だよ」と仰っていたのは誰でしたかね? まあこんな事もあるでしょう。いくら進歩したとはいえ、医療にパーフェクトは存在しません。医師にしてみればコンマ以下の“想定内”だったのかもしれません。

兎にも角にもあたたかく見守ってくれている家族や社員、そして多くの友人の励ましがあってこそ、今の私が生かされているのですから「勿怪の幸い」ではないでしょうか。


人間、愛されている事が一番だと思います。

感謝

おかげさまで3月23日に退院いたしました。

2月8日に入院して以来、実に45日ぶりの我が家には、残念なことに愛犬リュリュのお出迎えはありません。

私が2度目の手術でICU(集中治療室)に10日間ほど隔離された後、リュリュも糖尿病と腎不全、膵炎を併発してICUで治療を受けていたのですが、家に連れ帰った3日後に家内の腕の中で静かに息を引き取ったのです。

「しばらくは遺骨は家に置いて供養しましょう」

家内はリュリュがいつも寝ていた場所に祭壇を作り、多くのリュリュファンから送られてきた生花の真ん中に、リュリュの雄姿溢れる遺影が飾られました。たくさんの人が手を合わせに訪ねてくれました。

リュリュはペットを越えた“なにか”を持っていたのでしょうか。私の入院時よりも生花が多いんですよ。

私の入院初日には、駐日モロッコ大使ご夫妻が、翌日の手術前日にはメゾンカイザーの木村周一郎社長とフランスからエリック・カイザー氏が見舞いに来てくれました。その後も第一屋製パンの細貝理栄会長をはじめ70名を超える見舞客に、家内はテンテコ舞いで応対してくれていたこと、なおかつ献身的に看病してくれたことに“感謝”以外の言葉が見当たりません。

そしてなにより、いつも祈っていてくださった池の上キリスト教会の兄弟姉妹の皆様、本当にありがとうございました。

久し振りにPCを開いてメールをチェックすれば、たくさんのエールと励ましのお言葉をいただいていましたこと、感謝感謝でございます。

退院を前にして感じたことがあります。
それは生かされた私には、やり残したこと、やり遂げなければならない“なにか”があるはずなのだ……という、今までには見えなかったヒラメキ。

「暗闇の中に見えたひとすじの灯りの先には明るい未来が見える」

そんな思いは果たして自分を変える事になるのか、はたまた以前にも増してハチャメチャな人生を過ごすのか。

2017年は、会社創業70周年を迎えます。関係者諸氏のご多幸と共に、良き記念会が開けるように努力してゆきます。今一度、ご指導ご鞭撻の程、宜しくお願い申し上げます。

弊社社長 菅田耕司のコラム


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