コラム 三寒四温

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値上げに拍手

40年間通い続けている餃子専門店「赤点」は、中央線高円寺駅北口の純情商店街を真っ直ぐ歩いて早稲田通り手前の右側にある、わずか一坪の狭小店舗です。

カウンターには詰めても丸イスで5人がやっと座れるほどで、奥の客が帰るときには手前の客がいったん揃って外に出る事になります。

かつてはプロゴルファーを目指していたという(すでに腰が曲がりつつある店主が作る餃子と、独自の工夫が凝縮された味噌ダレは絶品そのもの。かつて名古屋で「赤点」を起業した店主のおじいちゃんの味を現在に残されているとのことですが、やはり“門外不出”のようです。

「マスター、この味噌ダレの配合は?」
「エエ、マアマア…」
「じゃあ、一日何個作るの?」
「エエ、まあ、まあ」

終始こんな調子で餃子の製法については企業秘密とばかりに口を濁す店主ですが、常連客との掛け合いは絶妙です。5人が並ぶカウンター席は、店主が1つずつ包みあげる餃子の手元を見ながら、いつの間にか和気藹々と笑いがたえません。初めて顔を合わせるお客同士でも、趣味や旅行、もちろん餃子や他のレストランの話などグイグイと店主が引っ張ります。そして帰り際には土産の生餃子の入った袋を手に、「近いうちにまた、ここでお目にかかりましょう」の一言。全員がスタンディングでのお見送りです。

メニューは餃子7個210円、ビール中瓶400円。餃子の値段は20年にわたって値上げ無しで、ビールが少しずつ値上がりしています。メニューはこの2点のみで、後は水だけです。

しばらく行けなかったこともあり、先月どうしても店主の顔見たさ、そして会話と餃子の味を楽しむべく、家内と出掛けてきました。着席するや、懐かしさの余りに店内を見回すと…… ナント!

 餃子7個 250円(税込み)
 ビール中瓶 500円

の品書きが。

「マスター、コレ、どうしたの?」
「いやあ、このところ歳をとって計算がおっくうで、簡単にしたんですよ」

照れながら値上げの理由を茶化している店主。しかし、ここで5人の客全員から大きな拍手です。

「やったね! 値上げ」「おめでとう!」「快挙だね」

…… 信じられないですが、本当の話です。値上げを喜ぶ客、これこそ商売の真髄ではないでしょうか。そこには店主の人柄と味もさることながら、時代に流されない店主の熱く凝縮された思いへの温かい拍手となったのです。

朝8時から一坪の店内でキャベツを刻み、皮を粉から作り、夕方6時30分の開店から“焼きを食べるカウンター客の他に、“”や焼きのテイクアウト客がひっきりなしに訪れる餃子専門店の赤点。

マスター、これからも健康に留意していつまでも頑張ってください。
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夏休み

夏休みに入って孫たちがやって来ました。


そのうちの小学校5年生になる孫が、志望する中高一貫教育校の中学校のスクールガイドを見てほしいと差し出されたので、パラパラとめくっていると、なんということでしょうか。「卒業生の声」というカラーページに、ポンパドウルの三藤社長の凛々しい全身写真が目に飛び込んできたのですから! もう、ビックリポンであります。

「卒業後も続く人と人との繋がりが良き伝統になっています」のタイトルに続いて、「この学院で過ごした6年間には様々な思い出が詰まっていますが、私にとってこの学校で得た一番の学びとは、人と人とのコミュニケーションの大切さだと言えます」と語っていました(文中略「スクールガイド」より)

この中高一貫教育学校の校訓は「人になれ 奉仕せよ」。これは創立以来、イエス・キリストの生き方にならい、神や他者との交わりを大切にした教育を行っている証でもあります。そして校長は“リンゴ”についての素晴らしい持論を書かれています。

そのタイトルこそ
「リンゴを抱えた人になる」です。

「ねえ、“リンゴを抱えた人になるって、意味わかる?」

と訊いてみたところ、

「うん、スクールガイドに書いてあるのをママが読んでくれたから知っているよ」

との答えでした。

聖書のリンゴ、ニュートンのリンゴ、ビートルズのリンゴ、スティーブ・ジョブズのリンゴ。リンゴには潜在的に社会構造を変える起爆剤としての働きがあるとも言えます(文中略「スクールガイド」より)。

「良い学校だね、入りたいの?」
「うん、制服もかっこいいし、歴史と伝統があるのがいいね」
「すごい発言だね、小学5年生には思えないよ!」

皆で大笑いです。

明日には、子供と孫一同で豊島園のプールに出かけますが、私は一日留守番です。そして中学進学を控えた孫は翌日から夏休み返上での受験勉強が始まります。歴史学者を目指したいと未来を見据える小学5年生。まずは三藤さんの後輩になることからだね
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さぬきの夢

讃岐うどん、大好き。


弊社企画のiba2015欧州視察研修旅行に参加された昭和産業の村上孝彰・高松営業所長様より、たくさんのさぬきうどんを送っていただきました。

生うどんは冷凍便で、さらに半生うどんも趣向を凝らして10種類ほど、「食べ比べてみて下さい」というメッセージカードが添えられていました。

さぬきうどんは東京では高円寺駅近くの名店「さぬきや」に月1回ほどのペースで通っているのですが、本コラムでもご紹介しているように、利き酒師の若店主は自身が選んだ全国の地酒に合わせて創作料理や数々の珍味をほんの少しずつ、洒落た器に盛ってふるまってくれます。その絶妙な取り合わせに唸りつつ、若店主や友人と薀蓄を語りながら酒肴が進むものですから、なかなかメインのうどんまで辿り着けません。気が付けば一本のうどんも食すことなくお勘定を済ませることも過去には多々ありました。

てな按配ですから、私的にはおいしいさぬきうどんを「腹いっぱい食べたい」という思いが、いつでも心の奥底にあった訳なのであります。

そんな折の、あまりにもタイミングの良い村上様からの贈り物です。段ボール箱を開けて、バラエティ豊かなさぬきの半生うどんとつゆセットを目にしたら、思わず「うわー!」と喜びの雄叫びを発してしまった訳なのです。同封されていた手紙には、

さぬきうどんも色々ありまして、私の好みもありますが美味しいのを送ります。香川県産小麦『さぬきの夢2009』を使用したものが最近注目されておりますが、豪州産麦主体の最高級小麦粉を使用したうどんもなかなかです! 弊社お得意先の石丸製麺様の包丁切りは美味しいですよ

とのメッセージがありました。

それでは石丸製麺さんの包丁切りからいただこうではありませんか! という訳で、弊社フェイスブック“今日の菅田亭にて、社員を含めての評価を後日発表させていただきます。乞うご期待! 

ところで試食当日の酒と肴は何にしようか? 凝り性でくいしんぼの私はそれが頭から離れません。
とりあえずは赤坂の土曜マルシェで偶然見つけた希少な珍味、ハガツオのカラスミに、兼八の麦焼酎の強炭酸割りから始めますか。それとも、獺祭のスパークリング酒かなー。

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平和を創る

脂の乗った『金華サバ』を酢でサッとしめてからガスバーナーで皮目がプリっと浮き上がるまで炙り、少し焦げ目が付けば上出来です。それから押し寿司の型に鮨飯を固く詰めて炙ったサバを乗せれば、焼きサバの押し寿司の完成です。これがまた、旨いのなんの! 南三陸沖で夏場にかけて穫れる金華サバは塩焼きでも味噌煮はもちろん、トルコ共和国の国民食・サバサンドイッチにしても、どれもこれも、おいしさはギャランティです。

今夜は我が家で楽しいBBQ、ご近所の友人家族をお招きして、肉が焼けるまでの腹ごなしに焼きサバの押し寿司と相成りました。夜遅くまで笑い声のたえない、久々のホームパーティーの夜でした。

翌日の7月14日はフランスの革命記念日で、“パリ祭と称されるレセプションが今年も世界各地で開催されました。私たち夫婦も駐日大使にご招待されて出掛けたのですが、会場である広尾の大使公邸に設営されたセキュリティーテントでは厳重なチェック体制が敷かれており、参加者も簡単には入れずに長蛇の列を作っていました。ゲリラ豪雨に見舞われたのも束の間、レセプションはとても楽しいひとときでした。

しかし、レセプションから帰宅してTVのニュースでフランスのニースで多数の犠牲者が出た悲惨なテロ事件が発生したことを知り、先ほどの厳重なセキュリティチェックの重要性を身をもって深く考えさせられました。パーティー招待客をとびきりの笑顔で迎え、おもてなしするダナ駐日フランス大使ご夫妻のご心中をお察しすると共に、罪なき人々を巻き込む卑劣なテロ行為に怒りが収まりません。 世界にはびこる極悪のテロ行為が一日でも早く撲滅する事、そして自由と平等、民主主義の平和な世界が築き上げられる事をただ祈るのみです。

狂気の先には破滅が待ち受けています。
世界のさまざまな宗教がもつ本来の教義から隔絶して、洗脳されて疑問を抱き、自身のおかれた社会のありように反発する若者はフランス革命の日に起きたテロリストとなって狂気の事件を引き起こしました。そこにはフランスを変えたモンテスキューやルソーらの啓蒙思想からは程遠い狂気の世界が見え隠れします。

貧富にかかわらず、家族揃っての食事を笑顔のある食卓で楽しむ。そこには“平和が存在します。平和を創る食シーンを、我々はもっと考えなくてはいけませんね。

パリ祭でパンブースをドネイションされたメゾンカイザー、ビゴの店、ヴァンドゥ リュド各社の工夫を凝らしたパン食シーンはレセプションを大いに盛り上げていました。この日のパンには“幸せというエキスがたくさん詰まっていましたね。“幸せがいっぱい詰まったパンをありがとう。

初盆

永六輔さんがお亡くなりになりました。

この数年の間、永さんの事を思い出した事はありませんでしたから、TVのニュースを見て「エッ、本当なの!?」と驚かされました。

永さんの数ある作詞の中で、私が最も好きなのは


 見上げてごらん夜の星を 小さな星の小さな光が
 ささやかな幸せを歌ってる
 見上げてごらん夜の星を ボクらのような名もない星が
 ささやかな幸せを願ってる
 手をつなごうボクと おいかけよう夢を
 二人なら苦しくなんかないさ


なんて素晴らしい歌詞でしょう。

小さな幸せを願う「見上げてごらん夜の星を」。この歌をその日は日がな一日、何度も口ずさむほどに私の記憶の奥底でずっと深く、永ぁーく大切にしまい込まれていたのです。

永さんは、その星たちに囲まれて坂本九さんや中村八大さんたちと一緒に空の上で肩を組んで楽しく歌っているのかもしれませんね。そして小さな幸せを願っているたくさんの人たちに「小さな幸せ」を運んでくれている事でしょう。

永さんのラジオ番組は車の運転中に楽しんでいました。「小沢昭一の小沢昭一的こころ」も好きな番組でした。この二人は歯に衣着せぬ話しぶりでしたから、痛快そのものでした。我々の世代は月光仮面や丹下左膳のような痛快なスターに“憧れがありましたから尚更です。

少し舌足らずな永さんがラジオ番組中、福岡博多の「かろのうろん」という名のうどん店を紹介した時のことです。

「あれ? “カド” や “ウドンが “かろや“うろんって聞こえるのかな? “角のうどん” でしょ?」

と思い込んでいたら、その話も忘れた4~5年後に中洲の入口そばにある「かろのうろん」を偶然にも通りかかって看板を発見した時には一人大笑いしてしまいました。

今年は愛犬リュリュの初盆です。夕方帰宅すると玄関先で家内が茄子と割り箸で作った馬と、リュリュの好物だったジャーキーを備えて迎え火をしていました。天上の父も母も愛犬たちもこの日を楽しみにしているのでしょうか。迎え火が立ち上る夜空を見やれば、その思いが“小さな幸せとなって心をふるわせてくれます。

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一家団欒

「飽食の時代」と言われて久しい感があります。

その意味は? デジタル大辞典の解説によれば、

「食べたいだけ食べられて食物に不自由しない」とありました。

NHKの朝の連ドラ『とと姉ちゃん』は戦後すぐの日常の筋立てで、毎回楽しく視聴していますが、この家族には「朝食は必ず家族全員で食べる」という家訓があります。戦後の物資や食料不足の中、やっと手にした幾ばくかの食料を家族皆で分け合い、粗食に耐えるのも、家族全員で食卓を囲むことで食を通じて家族が幸せになる。つまり、このドラマでは「一家団欒」を説いているのです。

幼い頃、母親の手料理のキンピラやネギ味噌、スイトン、ときに肉ナシ肉じゃがや白和えが私の大好物でした。しかし食卓に出されるのは一品と自慢の糠漬けと一杯の味噌汁だけ。しかも弁当となると前日の残りものがアルマイトの弁当箱一面に一品だけ添えられ、ご飯の真ん中には必ず梅干しがのっていたのがなつかしく思い出されます。

デジタル大辞典の「飽食」には、もう一つ解説がありました。それは、

「飽きるほどいっぱい食べる」

育ち盛りの私は腹が空くと竹皮に包んだ赤い梅干しをチュバチュバ吸ってよくおやつに食べていました。「飽きるほど食べたい!」そんな思いがありました。お百姓さんが精魂込めて作ったものだから、茶碗の飯粒を一粒たりとも残してはならないとしつけられたのもこの頃です。

昨今、大陸の中国では高度成長がものすごい速さで進み、そのスピードに追い付けない国家政策に、国民や中国国内に進出している世界各国の企業は経済政策の不備などに、数々の問題を抱えているのですが、十数億人超えの国民の食事情も様変わりしているようです。そんな中、中国では古来より客人にふるまう料理は、「残す美徳」が今なお受け継がれていて、食べられる食料の廃棄量は相当量に達するそうですが、日本ではどうでしょう?

「コンビニが日本の食文化を変えた」といっても過言ではありません。24時間、欲しい食品や生活用品等は、常時陳列棚に欠品することなく並んでいます。中国のように、食卓に出された料理の皿が空になったままでは、客人に失礼ですね。それと同じことなのでしょうか、商品棚に置いてない=欠品はマニュアルで許されないのです。

戦後の食料不足から「飽食の時代」、そして若者はコンビニ主体の食シーンへと時代は移り変わります。しかしその影に潜むもの、それは肥満や糖尿病等の、現代が抱える飽食による人体を蝕む病を発症させる環境ではないでしょうか。

「おいしいものが食べたい!」……でもその前に、日本国内で年間一千万トンにも及ぶ食品ロスの現況を今一度、食に関わる我々は考え、議論することが大事なのではないでしょうか。

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弊社社長 菅田耕司のコラム


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