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コラム 三寒四温

弊社の週刊紙「速報・製パン情報」から、好評の三寒四温をご紹介。
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レトロな昭和の味(後編)

前編からの続きです。)

若き日の思い出が詰まった「日高屋」。
半世紀を経て、いざ。

「日高屋」千駄ヶ谷店のランチタイムに運良く行列に並ぶ事なく入店できました。私一人だったので案内されたのはカウンター席。向かい側に座る客の顔は仕切りで隠れるものの、手元は丸見えです。満員の店内を見渡すと、けっこう女性の “おひとりさま” が目立ちます。カウンターや2人用テーブルに座る男性客の相席も含め、空席なしで回転率も上々という活気ある店内を切り盛りするのはフィリピン、ベトナム系らしき女性アルバイト。実にリズミカルに客をさばいています。言葉の壁もなんのその、オーダーミスもなくスムーズに厨房へと伝わっています。何よりキビキビとした接客態度は目を見張る素晴らしさで、見ていて気持ちがいい!

さっそくメニューを広げて大好物の“あんかけモヤシそば”を探しますが……ない。あんかけ野菜ラーメンはあるのですが残念! そこで今日のランチは次に好きな味噌ラーメンに決定。すぐに運ばれてきた丼を見やり、さっそくスープを一口すすると「ウン、なかなかいけるね」。麺はちゃんと使い分けているようで、他の客がすすっている縮れ麺ではなく、もっちりした細めの平打ち麺。こちらも上出来! しかしトッピングのモヤシや他の野菜、ひき肉の量が少々寂しいかな。「どさん子」などに代表される札幌味噌ラーメン本来の量には程遠く、「メニュー選びを失敗したかなぁ」という印象。それというのも、ふと壁に貼られた「野菜たっぷりタンメン」のポスターが目に入ってしまったから。丼から盛り上がった大量の野菜、しかも “野菜350gが摂れる!!” のコピー付き。野菜たっぷり味噌ラーメンも新メニューに加えてよ! あんかけモヤシそばもね! と麺をすすりながら思った次第です。

ところで胃を全摘出している私は、以前のように景気よくかきこむ訳にはいきません。少しずつ少しずつ食し、箸を止めては回りの客をウォッチングします。相席客のほとんどは料理が来るまでスマホから目と指を離しませんね。ありゃりゃ、右奥の男性は大盛りチャーハンにラー油と酢をたっぷりかけてかき混ぜています。他にも、これでもかとばかりに胡椒を丼一面にふりかけている人、レバニラ炒めライスに添えられた小スープにも酢をたっぷり注ぎ入れている人。味噌ラーメンには唐辛子とラー油をたっぷりと。いやはや食べ方は人それぞれで、とても面白いものですね。

特に目を引いたのが、カウンター越しの客。
ラーメンと何やら白髪ネギがたっぷりと盛られた皿が置かれると、すかさず皿のネギをすべてラーメンにのせました。

こんなのもあるのか! と慌てて再びメニューを開けば、トッピング欄に “細ネギ120円” の表記が。野菜の量に不満があった私は日本語の堪能なフィリピン系のおばちゃん店員にネギを追加オーダーしたのは言うまでもありません。すぐに来たネギの皿をもらうと、お互いニッコリとアイコンタクトを交わしつつ、すかさず味噌ラーメンの上にのせて空の器を返します。その上からさらにラー油をたっぷりと回しかけ、いざ食べてみれば……あらおいし。いとおいし。白髪ネギのシャキシャキ感と味噌味の麺がからまり、ちょいとピリ辛な大満足のランチとなりました。

レシピを “完成形” として、すべての顧客のニーズに応えることには固執せず、トッピングや客自身の “オリジナル調理” で一人ひとりの満足度を上げる手法から、日高屋さんが繁盛する理由が垣間見えた瞬間でした。昔ながらの “昭和の味” を感じさせつつも現代的に洗練されたチェーン店の面目躍如といったところですね。


……でもやっぱり、あんかけモヤシそば、メニューに入れて欲しいなあ。


レトロな昭和の味(前編)

弊社の近くにある中華レストランチェーン「日高屋」は、ランチ時に行列ができる人気店です。というよりも、ここ千駄ヶ谷近辺はレストランが少なく、どこもランチタイムは人であふれている状況です。となればテイクアウトできる店も人気で、サンドイッチ店もいくつかあります。おなじみサブ
ウェイとちょっと高めのモスクラシック、個人店では「HATONOMORI」というサバサンドを売りにしているレストランは若い女性客で大盛況ですし、メニューはこだわりのパンとコーヒーのみという小さな店にも行列ができます。

千駄ヶ谷から神宮前二丁目界隈はアパレル関連の会社が多く、さしずめファッション界の“頭脳労働者”が集まる特殊エリア。行き交う男女も個性あふれるファッショナブルないでたちで、2020年に開催される東京オリ・パラに向けて建設が進む新国立競技場のモダンで斬新なデザインにもマッチする? 洒落た街並みでもあります。

私は50年程前に「日高屋」の前身、埼玉の来々軒さんが新宿駅地下に出店(少々記憶が曖昧ではありますが)していた“喫茶ひだか”で友人とアルバイトしていた事を鮮明に覚えています。2人で面接を受けた結果、憧れの接客サービス担当は背が高くてイケメンの友人が、私はキッチンでの調理補助に決定。この店は若い女性客が多いこともあって若い男子としては是が非でも接客係をやりたいですよね。しかし私はというと、当時いちばん人気だったドリンクメニューのチェリー入りメロンソーダとオムライスとナポリタンの調理係。原液を炭酸水で薄めるだけのメロンソーダはともかく、オムライスは技術を要しました。初日に何回も失敗したので、その日の晩に自宅で一人大特訓を重ねました。

薄くフライパンにひいた溶き卵の上にタマネギとマッシュルールの薄切り、鶏肉の小間を炒めてライスを混ぜ、ケチャップで味付け。それを薄焼き玉子の真ん中に適量のせ、フライパンの取っ手を逆手に持ち替えて皿に回しのせて完成です。味付けはケチャップだけですから、どこでも誰がつくっても変わらないシンプルなおいしさ。昭和のレトロ感あふれるノスタルジックな味は、今でもナポリタンと並んで愛され続けています。もちろん私にとっても、半世紀近くを経た今なお特別な料理の一つです。
 
そんな懐かしい記憶を呼び起こしてくれる「日高屋」の千駄ヶ谷店にてランチをしました。さて、久々に感じた出来事とは? 次号に続きます。


もやしあんかけ中華そば

 白玉の
 歯にしみとほる
 秋の夜の
 酒はしづかに
 飲むべかりけり


 詩人・若山牧水の名句ですね。さわやかな秋の夜はベランダに出て盃に月を浮かべて飲み干す。先人達の “粋” は何世紀を経ても人の心を和ませてくれます。アテはみたらし団子がいいですね。焼いた団子にたっぷりかかったあんかけ。香ばしい醤油味が酒に合う。

私はこの、ドロっととしたあんかけが大好きなんです。料理で言えば中華のおこげ。眼の前で揚げたての麺に一気にかけると、ジュー! と湯気を上げて聞こえる至福のひととき。まさに五感を刺激してくれます。かた焼きあんかけそば、カレー丼、天津飯、皿うどん、さらに肉団子の甘酢あんかけやフカヒレの姿煮などなど。

そして、数あるあんかけ料理の中で私が一番好きな料理は……

「もやしそば」であります。

具はもやしのみ。これは日本の中華そば文化の革命だと私は思うのです。71年の人生において、グルメな食事に目覚めて以来これはスゴイ! と驚嘆した一品。毎日食べても飽きない料理であります。中華そば屋で頑固そうな親父が「ヘイ、お待ち」とカウンター越しに湯気が立ち上るもやしそばをドンと置きます。割り箸を割る瞬間から私は心ウキウキ、あんかけのもやしが丼の表面を覆いつくし、麺の姿は見えません。割り箸を丼の奥にくぐらせてたぐり上げ、フーフーと “クーリング” してからあんかけがしっかり絡んだ麺を一口頬張ります。次はレンゲにすくったスープと共にシャキっと仕上がった、絶妙なる “アルデンテもやし” の食感を堪能する。あー、これぞ至福のあんかけもやし中華そば。思わずオマージュで一句、詠んでしまいます。


  あんかけの  歯にしみとほる  秋の夜の
    酒ともやしそばは  静かにすするべかりけり


弊社社長 菅田耕司のコラム


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