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コラム 三寒四温

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鍋前の天ぷら

 行きつけの某天ぷら店のカウンターの鍋前(店の責任者が天ぷらを揚げる真ん前の席)で、久しぶりに店長の妙技に酔いしれた。
「何か目新しい肴とタネはありますか」
「かしこまりました」と、店長はニコッとして調理場へ消えた。しばらくして出された肴は2品。熊本県は五木産の"山ウニ豆腐"とフォアグラの西京漬けだ。山ウニ豆腐はたくあん大に2枚に切られ、黒もじが添えられていた。その黒もじで少し腹に乗せて口に含むと、一瞬、沖縄の豆腐ようの味がするが、臭くなく、まるで上質なフォアグラのように舌の上で溶けていく。絹ごし豆腐をもろみ味噌に漬け込んだ店長自慢の一品だ。
「これ、フォアグラではなくて、山ウニだよね」
「はい、隣がフォアグラです」
  小さな古伊万里風の器の中には、クラッシュアイスが盛られ、上品に小さくスライスされたフォアグラの上には季節の木の芽が美しい。
「エーッ。上品な味だねー。それにしてもこのフォアグラ、ただものではないぞー」
「そうなんです。フレッシュなフォアグラを火入れせずに、西京味噌に漬け込みました」
  黒龍の八十八号の杯が進む。家内と顔を見合わせ今日のこの出合いに乾杯。
  次に出された礼文島の手作り塩ウニも絶品で、「あっ、そうか、あれは山のウニで、 これが海のウニなんだ」と、 納得させられる。しばし天ぷら屋にいることを忘れるほど驚かされる肴だ。お造りは、五島の石鯛と、鳥取境港のうすめばるともに活け造りでプリプリだ。天ぷらは活車海老から始まったのだが、どうしてもここにとりあげたい二品だけを紹介したい。最初は銀宝(ぎんぽう)。穴子を小さくして潰したような小さい魚だが、穴子より淡白な、さくっとした食感で今の時期しか食せない珍味の魚だ。 この銀宝は、天ぷらタネの四天王(車海老、小柱、ハゼ、銀宝)の一角をになう。次の一品、三重県は伊勢産の大あさりの天ぷらは、貝殻を2つに割った中にあさりのぶつ切りと、しいたけと生姜の千切りが入り、貝殻ごと天ぷらにする。割醤油を上から垂らして食べると、アサリはほど良いレアで旨味のエキスが口中に広がり、生姜が後を追って自己主張する。「俺を忘れるなよー」てな感じで、生姜がないと、この天ぷらは完成しなかっただろう。この大あさり、本当の名称は"内ムラサキ貝"というらしい。一般には、お化けあさりとか大あさりとか呼ばれている。

弊社社長 菅田耕司のコラム


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