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コラム 三寒四温

弊社の週刊紙「速報・製パン情報」から、好評の三寒四温をご紹介。
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町の小さなパン屋さん

 今では本当に少なくなりました町のパン屋さん。奥さんと2人で朝早くから古いミキサーをカタタン、カタタンと回してコツコツとパンを作ります。朝の7時には小さなガラス棚の上に3斤棒の食パンが4~5本載せられ、3段あるケースの上段には卵を塗って焼成されたスリット入りのミニコッペパンの中には自家製のコールスローやケチャップ味のスクランブルエッグ、千切りされたレタスと乱切りトマトの自家製マヨネーズ味といった具材入りの惣菜パンが並んでいます。一日の売り上げは知れています。跡継ぎはいません。ですから、今さら石窯を入れて洒落た店に改装するお金も気力もありません。黙々と誇りを持って毎日まいにち同じパンを決まった時間に焼いています。
 惣菜パンはすぐに売り切れてしまうのですが、食パンを売り切るのはときには時間がかかります。一つだけ残った1斤の角食パンは夕方4、5時まで棚の上に置かれている事もあります。そんな日は棚の後ろの椅子に座って、夫婦が交互に店番をしています。この2人は飾り気がなく話下手な、朴訥(ぼくとつ)とした似たもの夫婦です。そして真面目な人生でしたから、ノリは効いていませんが毎日洗濯された白い作業着が良くお似合いです。朴訥というより〝純朴〟なのかもしれません。人情に厚く、世間慣れしていないから、パンを焼くことがこの上ない天職と思っているから、〝マーケティング〟なんて言葉も意味も知る必要もない、パンひとすじの人生でした。〝純真〟な愛らしい老夫婦のパン屋さん。店の前を通るたびに、朝はミニコッペを買い求めたものです。よっこらしょと、重い腰を上げて紙袋に入れてくれたお母さん。今どき都会では珍しい三角巾をして笑顔で「ありがとう」と手渡してくれました。お父さんも薄暗い奥の工房から手を振ってくれます。
 ある日、パンを買いに行くと、小さなパン屋さんはすでに解体されていて、車3台分の駐車場タイムズに変わり果てていたのです。もうコールスローやスクランブルエッグの惣菜パンは食べられません。少し淋しい気持ちになりました。
町の小さな個性豊かなパン屋さんを、65周年記念特集でこの秋から取り上げていきます。ご期待ください。
 がんばれ、町のパン屋さん!

弊社社長 菅田耕司のコラム


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