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コラム 三寒四温

弊社の週刊紙「速報・製パン情報」から、好評の三寒四温をご紹介。
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玉子ラーメン

その場所にそぐわない古いビルのやけに急で狭い階段を上った2階に、カウンターが11席ほどのラーメン店があります。今日のオーダーは玉子ラーメンとチャーハン。ラーメンの食べ方は人それぞれですが、私は必ずスープからいただきます。「ああ、おいしい」「本当! ホッとするわね」。シンプルな盛りつけで供されるラーメンは両手で大事にもらい受ける。まるで殿様から拝領されるが如くに「ハッハー」てな感じで、心の中では「待ってましたよー」と盛りつけの具を確認する時が至福の時ですね。みじんにされた白ネギが散らばり、豚肩ロースのチャーシューと丸ごとの味つけ玉子、そしてシナチクがいつもと同じ〝顔〟でお目見えしました。スープを一口飲んで「これ、これだよー」。家内はウインクをしながら相づちを打ちます。
 私達が大事にしているラーメン店3軒の内の1つ、荻窪の「漢珍亭」が閉店するのを知ったのは先月の事でした。いつもは同じ荻窪にある「丸福」の玉子入りワンタンラーメンと漢珍亭の玉子ラーメンを交互に食べ分けるのが、荻窪へ行く楽しみでした。丸福はこのコラムでも時折とりあげていますが、漢珍亭は秘密のお店として大切に口伝する事なく通っていました。「今日はチャーハンも1つ頼んで、2人で食べようね」とルンルンで玉子ラーメンを待つ間に店内をキョロキョロしていると、ナ・ン・ト、壁に〝4月末日で閉店します〟との小さな張り紙があるではありませんか!「どうしたんですか! 本当にやめちゃうの?」「もうお互い歳だからね、引退させてくださいよ」。その物言いがなんか淋しそうで切なく聞こえます。いつも狭い店内で笑顔をふりまいているおかみさん、いつも黙々と〝作品〟を創りあげているご主人。阿吽の呼吸の接客がまずうまい。ですからお客は皆、帰りがけに「ごちそうさまー」と、とびっきりの笑顔でドアを開けて急な階段を満足げに降りてゆき、その先には次の客が身体を横にして譲り合いながら交差して昇って行きます。そんな日常の光景までもがおいしいお店でした。
 60年の間、本当に今までありがとう。どうかお元気でお過ごし下さい。

弊社社長 菅田耕司のコラム


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