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コラム 三寒四温

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一人さんま

暑くて長ーい夏から一転、秋の気配と共に、大振りのさんまが魚屋の店頭に銀鱗を輝かせています。〝さんま〟と言えば……。

あはれ 秋風よ 情(こころ)あらば伝えてよ
男ありて 今日の夕餉(ゆふげ)に ひとり
さんまを 食ひて 思いにふける と。

高名な詩人、佐藤春夫の「秋刀魚の歌」の出だしの一節です。谷崎潤一郎の妻、千代を愛してしまった佐藤春夫の切ない思いがつづられたこの歌の最期には、誰もが知っている有名な一節があります。

さんま さんま
さんま 苦いか 塩つぱいか
そが上に熱き涙をしたたらせて
さんまを食ふはいづこの里のならひぞや

 未だかなわぬ思いに涙する純な、真っすぐな心情が伝わってきますね。その後、春夫は谷崎から千代をゆずり受けて結婚する事になるのであります。この詩にはふかーい作者の心情を一尾のさんまが語ります。失恋の涙がさんまにしたたり落ちる光景は、ちょっとなさけない気もしますが、さすがに詩人です。うまい味付けではありませんか。
 家内が女子会の満月の夜、夕餉にひとり、酒の肴にさんまを食ひて思いにふけりました。さんまのワタには清酒が合いますね。キリリと冷えた吉乃川がたまりません。「のんびりするなー。一人さんまも中々いいぞ。それにしても帰りが遅いな」。
 歳を重ねて涙する事が最近多くなった気がします。淋しい事も悲しい事もこれからもたくさん体験することでしょう。ですから〝一人さんま〟は時たまが良いのかもしれません。

弊社社長 菅田耕司のコラム


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