コラム 三寒四温

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年越し蕎麦

―― いやさー読んでもらいましょう。今年のトリの三寒四温は、おっとどっ
こいメシの話よぉ。来年は酉年って訳で、晦日の締めに鶏蕎麦たぐって年越し
すりゃあ、あっ、こいつぁ春から縁起がいいぜ ――


50年ほど前、学生時代の冬休みを利用した初めてのアルバイト。

大森駅前のビル建築現場は厳しい底冷えで、とても寒ーい夜のことでした。現場で立ち続けるガードマン姿は一見、警察官のようですが、もう寒くて寒くて、私、我慢できずに電信柱の陰に隠れて立ち小○をしてしまったのです。そんな時、運悪く母親と通りがかった子供が
「あっ! お母さん、お巡りさんがオ○○○してるよ」

……今でも思い出すと赤面してしまいます。遠くからジングルベルの有線放送がかすかに流れていました。人生初の日雇いアルバイト、こんなものでしょう。

一夜限りのアルバイトを終えたその夜、少し大人ぶって「鴨南蛮蕎麦を食べたい」と、蕎麦屋の暖簾をくぐりました。18歳は大人ですか? ひとりで知らない蕎麦屋に入るなんて、まるで寿司屋のカウンターに座るのと同じくらい緊張するもんでしたよ、当時は。もちろんこれまた人生初の経験でした。

「鴨南蛮蕎麦、お願いします」

少し大人の仲間入りができた気がしました。やがてテーブルに運ばれてきた丼。まずはつゆをすすって白髪ネギと蕎麦をたぐれば

「ネギと蕎麦って合うなー」

と、大人の独り言。今度は鴨を食べましよう。
……ん?「こりゃ鶏だよ!」ってな訳で、大人の私は箸を置き「すいませーん!」。
「ハーイ、なんでしょうか」と腰が少し曲がった店主が出てきました。

「これ、鴨じゃないですよね?」

すると店主は

「そうですよ。うちのは“鶏南蛮”なんですよ」

いやあ、おったまげましたね。かくも素直に開き直られては二の句が継げません。しかしこの鶏蕎麦、只者ではなかったのでした。しっかりとした肉の旨味、濃い目のつゆに浮かぶ鶏の脂、香り豊かでのど越しの良い蕎麦と白髪ネギ。この三位一体が織りなす摩訶不思議なコラボレーションの主役は、実はシャモ肉と親父こだわりの二八手打ち蕎麦にありました。シャモ鍋は私の父の大好物でしたから、子供ながらにそのおいしさを舌が覚えていたのです。

亡父は酉年生まれでした。そして明けて来たる2017年も酉年。父と母を想い、弊社創業70周年記念の企画を巡らせながら、鶏南蛮蕎麦をたぐって年越しといたしましょう。

皆様、良いお年を。

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弊社社長 菅田耕司のコラム


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