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コラム 三寒四温

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トライ&エラー

我が家の最寄り駅・総武線大久保駅ホームに設置されている、1メートル四方くらいのガラス製の路線図。夕方になると明かりが灯されるのですが、目をこらすと“本物はこちらだ”とばかりに路線図を隠すように広げたクモの巣の真ん中に小さなクモが2匹。冬風に吹かれて左右に揺れている様が“ライトアップ”されています。周りに捕獲された虫の収穫もなく、必死に巣に張り付いて踏ん張っているクモの姿が、なぜか哀愁を誘う今夜の寒さです。地味ゆえに今まで気づかなかった自然界の摂理ですが、都会の片隅でも健気に脈々と営まれているのですね。

その夜、冷え切った体をあたためてくれたのは高円寺さぬきやの店主が送ってくれた、試作品の「全粒粉の半生うどん」。試行錯誤を重ねながら全粒粉にこだわって5年の歳月をかけたという力作を開封、強火で湯がく事8分間。「さて、つゆはどうしようか? 濃縮のそばつゆしかないか……」と冷蔵庫を開けた瞬間、ふと閃きました。卵ケースの隅に隠れていた、塩ラーメン用の濃縮スープを見つけたのです。

「よし、今夜は塩ラーメンスープの全粒粉うどん・たっぷり焼きネギにぶつ切り入りだ!」

え、塩ラーメンスープとうどん? と首を傾げたくなる気持ちもお察しします。確かに味噌ラーメン用スープだったら味噌煮込み風にすれば違和感なく“合う”かもしれません。しかし、塩も意外と結構、いやなかなかのアメイジング・テイストであります。そして塩には焼きネギが合う! もっちりとした全粒粉うどんを噛みしめるほどに、塩・ネギ・小麦のマリアージュで箸が止まりません。両手で丼を捧げ持ち、熱々のスープを少しずつすする。あー、なんておいしいんだー。

大久保駅ホームの2匹は虫を捕らえられたかな、と一瞬クモのことを思い出したら、アラ不思議。TV脇の白い壁に家グモが現れたのです。家グモは福を呼ぶと母から教えられていたので、私はいつも気にする事はありません。「そうだ、生姜をすろう!」。家グモが教えてくれたのかもしれませんね、食いしん坊の私に。すりおろした生姜を丼に回し入れて、塩ラーメンのスープと焼きネギの香りをまとった全粒粉のうどんをひとすすり。これまた絶品であります。今朝あけた食パンをちぎってスープに浸して食すると、これもまた旨し! ケンカしない上品な味に仕上がりました。粉食は身も心もあたためてくれます。

食品メーカーの商品開発も、こんな具合に些細なきっかけで始まるのかもしれませんね。偶然の閃きと失敗の積み重ね、まさにトライ&エラーの試行錯誤です。豊富な記憶や経験という堅実な土台に意外性のあるアイデアを組み合わせることで新たな味、おいしさが生み出される。今夜の私はクモの巣のように張り巡らされた記憶のシナプスが上手くつながったようで、大満足です。

弊社社長 菅田耕司のコラム


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