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コラム 三寒四温

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裸の王様

パン業界は、「おいしい業界」なのでしょうか?


最近やたらと “食い物” にされている感が否めません。特にやっかいなのが「パン請負人」として闊歩している人たちです。白いパンや柔らかいパン、リッチな高級食パンを売りにして異業種や素人を相手に製パン業界に参入させる、“にわかパンの先生”たち! そう、彼ら彼女ら自身は確固たるビジョンなど持っておらず、ブームやトレンドなる追い風で得た名声を盾にマージンを要求する拝金主義者と私は理解します。何はともあれ、言わんとすることは行間からお察しいただければ……。

私としては全ての人の「口福」を満たして欲しいという願いで対峙したいと考えています。できることなら徹底的に排除したいのですが、反面教師として見れば幾許なれどパンの知識向上に貢献しているかもしれません。ここはひとつ、お手並拝見というか傍観してみましょう。消費者はやがて本物を求めてリターンしてきます。売り方、売らせ方、売られ方。考えさせられますね。

日本の製パン業界を牽引してきた大手製パンメーカーやリテイルベーカリーのたゆまぬ研究成果によって培ってきた、世界に誇る製パン技術は私達の食生活を豊かに導いてくれています。「自分らしさ」は企業や店舗の顔だと心得ます。決して周囲の目を気にして変えてはなりません。

自分らしさを貫き通す。これこそが消費者との絆を深めるキーワードでしょう。クープ・デュ・モンド、iba カップ、モンディアル・デュ・パンなど、世界を舞台に国を代表し製パン技術を競う各種コンテストが毎年開催されていますが、日本の技術が世界トップクラスにある事を私は誇りに思います。彼らこそが伝道者であり、業界発展の牽引者でもあるのです。その一方で、技術力や指導力はおろか人望すら持ち合わせていない形だけの責任者が居座っている団体があるのも事実です。そんな環境でもめげずに活動している指導者や選手達が不憫でなりません。

エセライター等と同様に一時の権力や名声に固執し続ける、裸の王様の如き振る舞いは滑稽でしかありません。

若者たち

昼前に総武線の大久保駅から電車に乗ると、杖をついてる私を見るや一人の若者がパッと席を立ち、「どうぞ」と席を譲ってくれました。「ありがとうございます」と礼を言い、「よっこらしょ」と腰を下ろすと、若者とその仲間3人の会話が私の眼の前で始まりました。

席を譲ってくれた若者が友人のTシャツを一瞥、背中にプリントされた3本の縦縞の下に英文で “Three Stripe ” とあるのを見るや、

「何これ!? “3人のストリップぅ?”」とはしゃぎます。

すかさずもう一人の友人が、
「バカかお前は! “スリーストライプ” だろ!」

3人で大笑いです。

「昼から下ネタかよ~!」

と、ストリップと誤読した若者も一緒になって再び大爆笑。どうやら沿線の大学生らしいのですが、何とも微笑ましい電車内の光景ではありませんか。実は私も下を向いて笑いをこらえていました。

3駅目の千駄ヶ谷で若者たちに「ありがとう」と改めて感謝を伝えて下車。会社へ向かう途中、前方から若い男をはさんで両脇に女性の3名、揃って黒のリクルートスタイルで横一列で歩いて来ます。男は短くなったタバコを吸うと、道端に火が付いたまま投げ捨てました。すれちがいざまに私は「タバコを捨ててはいけないよ」と咎めると、ふてくされた声で「すみません」と歩きながら一言。

「拾ってください」と背中越しに言うと、振り向きもせず「すみません」とだけ言い残して3人で駅方向に歩き去りました。少し離れてから女性が一人、こちらを振り向いて睨んできたのが意外でした!

電車内の若者たちと、このリクルートスタイルの若者たち。それぞれどのような環境のもとで育ったのでしょうか? いずれにせよ、すでに人格の出来上がった “大人” とみなされているのは間違いありません。見た目ではごまかせない人の本性とは幼くして身につくものであり、のちの努力で磨かれるものでもあります。

人それぞれの人生がありますが、18歳で選挙権を得た若者たちは、日本人として今回の参議院選挙にどのような意識と関心を持って投票所に足を運んだのでしょうか? いや、棄権したかもしれません。これもまた人それぞれですから。

法的には一律に“大人”であっても、成長・成熟には個人差があります。ゆくゆくは個性を生かして何か一つでも人の役に立つ事ができる…そんな若者に数多く出てきて欲しいなとつくづく思わされた一日でした。


私をおうちに連れてって

甲州街道から中野通りを青梅街道へと抜ける手前の左側に、30年程前から車で通るたびに気になっていたお店がありました。

その名は「美智子カレー」
信号待ちでチラッと店内をのぞき見ると、カウンターが6~7席だけの小さなカレー専門店です。いつか食べようと思いながらも駐車場がないので躊躇していたのです。10年程前にはお店の前にノボリの赤い旗が3本ほど風にそよいでいました。

白抜きのコピーは“私をお家に連れてって!”です。
なんともほのぼのしたユーモラスなキャッチコピーではありませんか! そもそも店名が畏れ多いのに、ましてや“お家に~”とは驚かされました。通るたびに店の存在を確認し続け、今度こそと思い続けて30年、一昨年「美智子カレー」は姿を消しました。いつか行こう、お持ち帰りでもいいから、どんな味なんだろう? なんて思いながら30年の時があっという間に過ぎ去り、店内どころかオーナーの顔も拝めず、もちろんカレーも食せず。すべては夢うつつとなってしまいました。

こんな事が、長い人生の中では度々あるものです。昔、バックパッカーの友人に教わった迷言があります。

「インドはね、呼ばれた人だけが行けるんだよ。行こう行こうと思っていてもインドは呼んでくれないよ」

・・・確かにそうかもしれませんね。当時の私はバイタリティだけは自慢でしたから、カシミールなど今なお紛争が続く危険なエリアにも足を伸ばしていました。何事も行動力があってこそのなせる業、それが“実行力”なのでしょう。思いあぐねているだけでは何事も叶えられません。それは人生の中で最も大切な事だと私は思います。

それにしても残念! どんな人がどんな味のカレーを、どのように提供していたのでしょうか? 行動力、実行力の伴わなかった私は未練がましく今日もその場所を通過します。

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リックス・カフェ

ハードボイルド
hard-boiled


なんとも言えない、格好の良い言葉ですね。“男らしい男”と、昔からそのように理解してきましたが、ネットで検索してみると人それぞれに感じ考えている色々な意味があって面白いですね。

ハードボイルドとは、

「言い訳を許さず、甘えを許さないものだ」
「世の非情をものともしない強さ」

という書き込みを見つけました。Weblio辞書によればハードボイルド小説の定義として「暴力的、反道徳的な内容を、批判を加えず客観的で完結な描写で記述する手法・文体」とありました。ちなみにアーネスト・ヘミングウェイの作風などが一例であるという解説に、私は“深すぎて訳が分からない”事態に。随分と難しい検索に手を出したな、クールポコ風に言えば「やっちまったなァ!」といった心境になりました。

たかがハードボイルド、されどハードボイルド。直訳すれば「かたゆで玉子」ですが、結論は“半熟”で結構、カターク考える必要はなかったですね。

そもそも、なぜハードボイルドについて書いているのか?
それはフェイスブックのタイムラインで流れてきた“懐かしい名作「ボルサリーノ」を観た”という友人の書き込みがきっかけでした。「私も帽子はボルサリーノです」などと自慢げに返信し、しまいには“お互い老後はハードボイルドな人生を過ごしたいものですね”なんてやりとりの直後、はて、ハードボイルドの使い方はこれで正しいのか? と疑心暗鬼になり、とっさに調べたという経緯ですが、「かたゆで玉子」で終わってしまったのです。

私の好きな映画「カサブランカ」のハンフリー・ボガートは“かたゆで玉子”です。舞台となったモロッコの港町・カサブランカには2回ほど訪れていますが、撮影はすべて本国ハリウッド、オールセットにて行い、主役のボガートをはじめ誰一人としてモロッコの地を踏むことなく完成させた大作であったことをご存知でしょうか。カサブランカの港のそばにある、ボガートとイングリット・バーグマンがデートしたバーは、今でもボガート演じる主人公の名・リックスの名をとって「リックス・カフェ」として映画のシーンそのままのスタイルで再現され、観光客で連日賑わっています(注:前述の通り、撮影に使われた店ではありません!)

店内の壁にはめ込まれたTVモニターでは2人がくつろぐ白黒のシーンが繰り返し流れています。事情を知る映画関係者は見向きもしないが、なぜか今でも繁盛している「リックス・カフェ」。ミーハー心で店を訪れた私は、せっかくなので“聖地探訪”を思い切り楽しみました。ボルサリーノの帽子をかぶってリックスになりきり、カウンターでバーボンをクイッと呷る。ハードボイルドでしょう?  アテはゆで玉子…はさすがにやり過ぎですね(自粛)。

カサブランカ観光の折には「iloli」(いろり)という日本食レストランをお薦めします。古川オーナーシェフの料理は最高です。長旅の疲れが癒やされるでしょう。


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弊社社長 菅田耕司のコラム


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